カキを知ろう

カキの種類

  • ★カキえもん

    厚岸種を使い、厚岸で育てた純厚岸産の牡蠣です。シングルシードという養殖技術を用い、生まれた時から一つ一つバラバラの状態にしてカゴで育てるため、カップが深く、殻がきれいで実入りが良く、他の牡蠣に比べて小振りだが旨味が凝縮され、臭みのないあっさりとした塩味が特徴です。

  • ★マルえもん

    宮城の牡蠣種苗をホタテに付着させたカルチ盤をブドウの房のような状態で育てる垂下式という養殖技術を用います。通常成貝になった時点でばらして出荷されますが、カキキンは一つ一つバラして籠に入れ、厚岸湖・厚岸湾を移動させながらより形と実入りを整えます。また海水温の低いところに移動することで実入りをコントロールし通年出荷する事が可能です。 春はキレが良く、夏は濃厚、冬はぷっくらと、季節と共に牡蠣の変化を楽しむことができます。

  • ★ナガえもん

    三陸の海で生まれ育ったあと、厚岸にて育成された牡蠣。殻は平たく長い形が特徴。大ぶりな牡蠣です。

  • ★弁天カキ

    2016年に販売開始した新しい牡蠣です。ホタテの貝殻に、厚岸で生まれた稚貝を数十個付着させ、1年程度養殖したあと、ホタテから外し、カゴで養殖します。

  • ★番外編・アサリえもん

    カキキンではアサリも扱っています。厚岸湖には道内アサリ生産量の6割を占める豊かな漁場があります。通常は1年ほどで成長するところ、厚岸は水温が低いため5年かけてゆっくり育ちます。その間に大量のプランクトンを摂取するため、味も養分も濃厚な美味しいアサリが育ちます。カキキンでは牡蠣と同じように、出荷前に蓄養するため砂抜きをする必要がありません。

厚岸のカキの歴史

厚岸(アッケシ)という地名は、アイヌ語で「アッケケシ」(カキのたくさんとれるところ)に由来するという説があり、厚岸とカキは切っても切れない関係にあります。実際、町内の多くの遺跡から牡蠣の殻が発掘されており、古くから貴重な食料であったことが伺えます。

明治時代に入ると乾燥させたカキの生産が始まり、その際に出る煮汁でカキ醤油を製造したり、酢漬け、佃煮、缶詰などの製造が盛んに行われるようになりました。

ところが捕りすぎにより生産量は激減していきます。大正初期には3年間禁漁となる事態になり、解禁後も貝の大きさや漁期の制限などが強かれ、対応策として宮城県からカキの稚貝を輸送したり、サロマ湖で稚貝を採取するといった試みをしてみたものの、すべて失敗に終わってしまいました。

1935年(昭和10年)には、ついに宮城県から稚貝の大量輸送に成功し、カキ島に撒かれ資源が復活を果たします。その後順調に推移し、昭和30年代には高水準の水揚げを記録したものの、漁業者が多くなり、40年代にはまたもや生産量が激減しました。

さらに昭和50年代後半にはカキが大量に死んでしまうという“事件”が発生します。夏の低水温によってカキが産卵できず、そのストレスによって死んでしまったというのが原因のようでしたが、これをきっかけに厚岸のカキ養殖は大転換を図ります。

カキ島での養殖ではなく、海にロープを張ってカキをぶら下げる、現在の延縄垂下式養殖に切り替わり、カキ島にはアサリが撒かれて、大半が「アサリ島」となっていきました。

日本初となる“シングルシード”技術との出会いは、当時「厚岸生まれ厚岸育ちのかき」を復活させるため、新しい牡蠣の養殖技術を模索していた厚岸漁協の有志が、姉妹都市、オーストラリア・クラレンス市との交流の中でこの技術を知り、北海道の気候に合うように改良を重ね、日本で初めてシングルシード方式の導入を行いました。

クラレンス市との縁は古く、1850年クラレンス市の捕鯨船イーモント号が沖で遭難した時、厚岸町民が乗組員32名を救助。これが縁となり遭難から132年後の1982年に姉妹都市締結がされ互いに交流を深め、現在の厚岸牡蠣養殖を助けてくれました。

養殖から出荷まで(カキえもんの場合)

  • STEP①

    細かく砕いた牡蠣殻の粉末に、人工種苗した牡蠣の幼生一つを付着させます。

  • STEP②

    カキ種苗センター内施設で、稚貝が4ミリ以上になるまで中間育成します。

  • STEP③

    各漁業者に配布され、カゴで養殖します。

  • STEP④

    水揚げされた牡蠣は、殻のまま洗浄機で洗い、滅菌した海水プールに48時間以上つけて浄化します。また大腸菌、一般生菌数、腸炎ビブリオの検査を行っています。

  • STEP⑤

    お客様のことを思いながらひとつひとつ丁寧に箱詰めし、出荷します。

カキの豆知識

  • ★厚岸牡蠣の特徴
    日本の主な牡蠣は宮城か広島生まれの「種」を全国各地の海で育て、それが地元の特産牡蠣となり流通している事をご存知でしょうか。 日本では数少ない通年出荷されることで有名な厚岸の「マルえもん」や、その隣(同じ厚岸湾)で養殖されているクリーミーさが人気の「仙鳳趾」も同じ宮城種を使用しております。 なぜ厚岸の牡蠣が全国でも知名度が高いかは、地元に自生している「地種」を使い「シングルシード」という数少ない種苗生産を行い、その種で育った牡蠣が「カキえもん」として流通し、その養殖法もさることながら牡蠣自体の味が良い事で知られていきました。

  • ★シングルシード
    日本の牡蠣養殖は、通常、ホタテ殻を連にしたカルチ盤に牡蠣の稚貝を付着させ、それを海に沈めブドウの房のようなかたまりにして育てます。  シングルシードは、稚貝を牡蠣の粉末に付着させ、生まれた時から1個1個独立した状態で成貝まで育てます。これを行う利点としては、かきえもんブランドの要、厚岸生まれの種のみを特定できることと、塊ではないので、1個1個の殻(カップ)を深くし、形を整えきれいに育てることができます。  地元生まれの牡蠣はその土地に合ったDNAをもっているので環境に適合し、一つの殻がその海域の魅力をしっかり伝えてくる力強さがあります。 牡蠣自体の色や形にも特徴が表れ、食してもその違いをはっきり確認することができ、その代表的が「カキえもん」です。

  • ★牡蠣採苗センター
    シングルシードに欠かせないのが種苗センターです。 通常牡蠣は天然採苗という方式で、1枚のホタテ盤にたくさんの稚貝を採取する方法で行いますが、シングルシードは施設内で牡蠣を管理し、0.2㎜の牡蠣殻の粉末に人工的に付着させて、1個1個独立した形で採苗します。

  • ★厚岸産の牡蠣の美味しさの秘密
    水温の低い厚岸湖と厚岸湾で、ゆっくりと時間をかけて育てるので旨さが凝縮されます。湖は川からの真水が混ざる汽水質です。湾はより栄養が豊富で、湖より水温が低く波が高いため形を整えるのと、実入りをコントロールするのに適しています。